半年ほど前伊藤俊輔くん30歳が中途入社してくれた
かの伊藤博文(初代総理)の幼名と同じだが、その固いイメージは少しも無く
いつもニコニコ(ニタニタ?)して笑顔を絶やさず元気に勤めてくれている
平均年齢が60半ばの職場では孫のような存在でもあり、
年配者からいじられたら適当に返し、笑いを取り皆を笑顔にしてくれている。
そんな彼から実姉との商談に同行を依頼された
誰もが知っている大手一流企業である
14階の応接室に通され「初めまして…」の名刺交換
しかし私以外の二人は姉弟である(なのに儀礼的な名刺交換はしていた)
オフィシャルで対峙する事はまず有り得ないし、二人だけなら名刺交換もしないし
「やあ」「あのさ」と家族内の呼称でタメ口だろう
いや、それなら家で話せば済むことだ
一通り商談が終わりエレベーターでお見送りしていただく際に
彼女は丁寧に深々と頭を下げて最後まで顔を上げなかった
いつもそうなのかもしれないが
どんな顔したらよいのか困るだろうし、弟をくれぐれも宜しくお願いしますの所作にも見えた
外に出て社屋を背にして彼は「姉のONの姿を初めて見ました」と感慨深げだった
商談時私の横に鎮座していた彼は、果たしてお姉さんの目にどう映ったのだろうか…
二人して応接フロアに傘を忘れてきた。皆緊張していた空間だったのかもしれない